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ムーシールド(MUH Shild)について

ムーシールドは取りはずしの出来る矯正装置で,受け口(反対咬合)の治療に用いられる装置です.
主に夜間就寝時に使用します.
装置は,一般的には患者様毎にオーダーメイドで製作されますが,お口の模型(印象)を採る必要がない既製品タイプもあります.
既製品タイプが調整により使用できれば,廉価で,お口の模型(印象)を採ることが難しい3歳前後から使用することができます.

ムーシールドの治療機序

ムーシールドには
1.早期初期矯正治療
2.被蓋の改善
3.舌圧と口唇圧のバランスを保つ
4.舌を高位(高い位置)に保つ機能
などの機能が一つの装置に盛り込まれています。
これらの機能により、個々の歯並びを整える」というのではなく,「顎の成長を利用して、上下の顎や咬み合わせの位置を正しく改善する」という目的で使用するものです.

左図(メーカーHPより)で,
ピンク部分:上唇が内側へ押す力を排除し,上あごの成長を促す部分
黄色部分:上下の噛み合わせを自由にする部分
青い部分:舌を上にあげる部分

このような構造によって、上顎の成長を促進する効果、舌の位置を正しい位置に誘導する効果,嚥下(飲み込み)時の舌の力によって上顎を前方に押す効果などにより,反対咬合を改善する作用が期待できます.

しかし,通常の矯正装置のように積極的に力を加えることはできないため,1年程度使用しても反対咬合が改善しない場合は他の装置を考える必要があります.

反対咬合(受け口)の治療開始時期について

一般的には,小学校低学年からの治療が望ましく,それまで治療を行わなくても「手遅れ」ということはありません.
上下咬み合わせているにもかかわらず,前歯が接しないほど下顎が前に出ている場合には,4歳半程度から治療を開始する場合もあります.
それ以下の年齢の場合は,矯正装置を装着することによる摂食障害や,お口の模型(印象)を採ることが難しいため,経過観察することが一般的でした.
一方最近では,早期治療を希望されるご両親が増えていることから,お口の模型(印象)を採る必要のない,既製品のムーシールドが使用できる場合には,3歳前後から受け口の治療を開始しています.

既製品のムーシールドを装着したところ

ムーシールドの装着方法

既製品の場合はお口の模型(印象)を採る必要がありません.強く当る部分などは調整を行ないます.

ムーシールドをお口の中に入れる時には、舌を上にあげてムーシールドの中に入れるようにします.

口に入れたとき,口唇を閉じるようにします.

お子さんが嫌がった場合は無理をせず,口に入れさせてくれるようにする所から始めて下さい.最初は数分でもいいので,慣れるにつれて使用時間を増やしてください.慣れるにつれて夜間寝てる間にずっと口の中に入れていられるようになります.
個人差はありますが,大体2週間くらいで装置に慣れてくると思います.

歯みがきと同じように,上手に装着できたら褒めてあげましょう.

口の中から装置が外れてしまっている時は、軽くすすいでから口の中に戻してあげて下さい.

強く当る部分などが出てきた場合には,無理に使用せず,早めに御連絡下さい.

ムーシールドの費用について

既製品を使用できることが多い3〜6歳の場合は,数万円程度になります.
オーダーメイドの場合は,小児の矯正装置料に含まれます.
詳しくは,矯正治療費のページを ご覧ください.

ムーシールドのQ&A

この装置で必ず反対咬合は治るのですか?

ムーシールドは,通常の矯正装置のように積極的に力を加えることができないため,全ての症例で反対咬合が改善できるわけではありません.
一方, ムーシールドだけで反対咬合が改善し,後戻りも無かった場合には,時間的にも経済的にも負担が軽減されます.
ムーシールドはそれだけで反対咬合を完全に治療するものではなく、一連の矯正治療の流れの中での一番初期の段階に行なうものだとお考えいただくのが宜しいと思います.

ムーシールドは6歳では遅いのでしょうか?

廉価な既製品のムーシールドは,サイズは2種類しかありません.サイズ的には3〜6歳ということになりますが,個人差がありますので7歳で使用できる場合もあります.
オーダーメイド(お口の模型を採る)のムーシールドなら,顎の大きさによる制限はありません.

寝ている時だけで本当にいいのでしょうか?

昼間も使用すれば効果は早く現れますが、装着時は話す事や食事などが難しいため,特にお子さんが望まない限りは就寝時の使用が宜しいでしょう.

どうやって治すの?

筋機能のアンバランスが、不正咬合を造ります。バランスを整え、調和を取り戻せば、不正咬合は、回復します。反対咬合の原因の一つは、舌が低い位置で機能していることです。ですから、治療目標は、まず、舌を挙上して上げることです。その様に、バランスを取り戻す器具が、機能的顎矯正装置、ムーシールドです。就寝中使用します。取り外し出来る装置ですから、上手く使えなかったり、諸条件によっては、期待する効果を得られないこともあります。主治医に充分相談の上、ムーシールドを使うことを、お勧めします。

一度治したら、もう大丈夫?

ムーシールド治療法は、大抵の場合、およそ一年間を目標に治療します。一度治したら、「もう大丈夫」という人が、大半です。しかし、成長がスパートする頃、再治療を必要とする場合があります。定期健診は重要です。女子は15〜16歳。男子は17〜18歳まで成長します。その頃まで、定期健診を続けることが理想です。

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